この度私は人生初のヘアドネーションの為ロングヘアをばっさりとカットしてみました。
世間ではヘアドネーションの活動はだいぶ浸透してきているので皆さんご存じかと思いますが、
ここで今一度、ヘアドネーションについて簡単に説明してみます。
ヘアドネーションとは、癌や白血病、先天性の無毛症、不慮の事故などにより髪の毛を失った子供たちに
オーダーメイドの人毛ウイッグを無償提供するために髪の毛を寄付する活動です。
私は、これまでに病気などで髪の毛を失う様な辛い経験はした事がありませんが、
女性であり、ヘアメイクの仕事としている立場上、髪の毛をとても身近な存在であり、愛すべき存在であり、その人らしさを決める大事な要素でもあると感じています。
ですので、病気などで髪の毛を失った方の気持ちを想像してみると、
感じ方に個人差があるにせよ、それは本人にとってショッキングな出来事であり、普段美容に興味のある方なら尚更、本来の自分の姿とのギャップに落ち込むところだと思います。
また、対外的な面を考えても、他人に与える印象として、本来自分自身の生命力を感じる要素の一つである髪の毛が抜け落ちてしまうことにより、
周囲の人々にに対して必要以上に心配や不安を与えてしまうのではないかという懸念も出てきて、そがれ更に精神的な負担となってしまう事と思います。
こういった状況下では、極力余計な不安やストレスを無くし、出来るだけいつも通り、本来の自分の姿と変わりのない状態で過ごすことが非常に重要であり、ウイッグはそれを実現する
為の必需品だと思います。
しかしながら、実際にウイッグを購入しようと思うと、人毛でできた自然なウイッグは制作コストがかかる為高価であるのも事実です。
これでは病気本来の苦しみだけでなく、精神面、経済面の苦しみまで加わり、状況をより過酷なものにしてしまいかねません。
また、こういった状況にみまわれている本人が既に成人している大人であれば、辛いながらも、これまでの人生経験を活かし自分の状況を客観的に見て対処し、精神を保っていくことはある程度
可能なのではないかと思います。
しかし、幼少期、思春期の子供が同じ様な状況下に置かれた場合には、より注意深いケアが必要になってくるのではないかと思います。
自分自身もかつて子供だった時代があるのでわかるのですが(誰でもそうですが)
幼少期の子供は日常生活において自分自身でコントロールできない事が大人より多く、また、経験が少ない分、脳や心がまっさらな状態で、大人以上に色々な物事に対する影響を
ダイレクトに受けやすい存在だと思います。
住む場所、行く学校、病気になった時の治療法、毛髪を失った時に新たにウイッグを手に入れられるかどうかも、自分の力では決める事が出来ず、周囲の大人たちに身を委ね、その範囲内で
生きていくしかありません。
また、子供は純粋な存在でもあるので、見るもの聞く物を良くも悪くも何のフィルターも通さずにダイレクトに取り込んでしまいます。
楽しい事嬉しい事を大人以上に全力で感じられる反面、辛い事、苦しい事も深く記憶にのこってしまうのではないかと思います。
髪の毛がない事によっていじめにあった、病気で普通の子と同じ学校生活がおくれず寂しい思い、悔しい思いをした、自分だけ取り残されている感じがした。
こういった自分の力ではコントロールが出来ない事に遭遇した時、子供は小さい身体と心を駆使して自分なりに安全、安心を確保しようと懸命に努力すると思います。
人に傷つけられる事を避けるために他人に心を開く事を辞めたり、悔しい、寂しい思いをこれ以上しない様に自分に対する期待を捨てて無感情を装ったり、
対処法は人それぞれだと思いますが、ここで一つ生命の危機を避ける為に苦しみや悲しみに蓋をして、その蓋の上にもう一人の新しい人格を形成してしまうことによりトラウマとインナーチャイ
ルドをつくってしまいます。
この様に幼少期に作られたトラウマにより形成された新しい人格は、病気が治り、新しく髪の毛が生えそろい、成人して生活環境を自分で選べる立場になった後も自分の中に残る可能性がありま
す。私は病気によって髪の毛が抜ける事そのものよりも、自分自身で作り上げたトラウマや人格により後々まで続く苦しみの方がある意味深刻ではないかと思います。
ですのでヘアドネーションにより髪の毛を失った子供を対象にウイッグを贈り笑顔を取り戻してもらう活動は、人の心の一番根っこの部分を助ける活動だと思えました。
それにしてもなぜ精神科医でもない、心理カウンセラーでもない、へアメイクの私がこういった心の問題に対して自分の見解を述べるに至ったのか、少し考えてみました。
そもそも人は何のために髪型、メイクにこだわり、ファッションを追及するのかというと、それは
こういった自分になりたい、こういう人間として周囲と関わりたい、こういった生活をおくりたい
という願望の現れなのだと思います。ヘアメイクをするその動機や根源にあたるもの、それは、やはりの心身の充実、人生の充実の為の表現なのではないかと思います。
そしてそれを満たすお手伝いをする事が私の仕事なのだと思います。
今回は
へアドネーションの事一つを語るのにだいぶ遠回りをしてしまいまいしたが、
私は今回の経験を通して
外見に対するアプローチ(ウイッグを贈る)をすることによりその人の心に働きかけ、
また心の側にアプローチをする(不安や負担を軽減して差し上げる)ことでその人の外見や生活にも変化を起こす。
要するに、その人の内部表現、外部表現、その両方にアプローチすることの重要性を学習したのだと思います。
私自身、今回、色々な事に想いを巡らせ、また外面的にも新しい髪型になり、心機一転生まれ変わったような気分です。
この様に、ヘアドネーションは寄付する側にとっても嬉しい事が沢山あります。
もしも興味がある方がいらしたら一度思い切ってトライしてみる事をオススメします!(^^)!
大変な長くなりましたが最後までお読み頂きありがとうございました。
あなたの充実した人生を応援しております。